わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

  • 河出書房新社 (2010年10月9日発売)
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感想 : 51
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221029*読了
この世界文学全集の中では、一番薄い本なはず。
鈍器?くらい分厚い本も多い中で、一般的な単行本くらいの厚さ。

「わたしは英国王に給仕した」というタイトルをなぜか昔から知っているような気がしていて。
しかも、映画のタイトルだったような気がしていたのだけれど、確かに映画化されているものの、日本では「英国王給仕人に乾杯!」なんだよなぁ。
わたしの勘違いなのだろうか。

イギリス好きのため、このタイトルが気になって、早く読みたかったのだけれど、いざ読んでみると、英国王出てこないやないかーい。笑
主人公自身はエチオピア皇に給仕したのに、師であった給仕長の経験である、「英国王に給仕した」の方をタイトルにするっていうのも、なかなか考えつかないよなぁ。

給仕見習いから給仕人に、ホテルを移って、給仕長になり、ついには自らがホテルの支配人となる。
そんなサクセスストーリーかと思いきや、世情により、というか自ら進んで凋落の道を歩き出す。
最後には山奥深くでひっそりと道路工夫になってしまうという、大きな山を描くような人生。
他の長編に比べるとまとまっていながらも、ガツンと来る。滔々と流れるように語られる人生、人生は流れるけれど合間合間のスパイスが強い。
フラバル氏の著作ってほとんど和訳されていないみたいなので、もったいないなぁ。おもしろいのに。

そして、エロティックな場面も時々あったし、どんな映画になっているのだろう、というのが読みながら気になりました。
映画は見たいような見たくないような。笑

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月29日
読了日 : 2022年10月29日
本棚登録日 : 2022年10月29日

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