ご本、出しときますね?

制作 : BSジャパン  若林正恭  西加奈子  朝井リョウ  長嶋有  加藤千恵  村田沙耶香  平野啓一郎  山崎ナオコーラ  佐藤友哉  島本理生  藤沢周  羽田圭介  海猫沢めろん  白岩玄  中村航  中村文則  窪美澄  柴崎友香  角田光代  尾崎世界観  光浦靖子  佐久間宣行 
  • ポプラ社 (2017年4月25日発売)
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コロナで部屋から出られないわ、母親は意外な重病で手術待ちだわ、10年前に別れた人から難しい電話がかかるわ…。自分の耳は昨日の夜からひどい耳鳴りでろくに聞こえないわ。まあ怒涛のようでこのひと月、大学の勉強どころではなく、さりとて本もろくに手に取れず、コミックを読んでばかりだったが、やはり紙の本を読みたくなって、体調を見ながらゆるゆる読んでいた。2020年、5月の1冊目の読了本。

本を読むのが好きとあらば、書評やブックガイドの本も、当然大好物。なのに私はこの番組を知らなかった。人気漫才コンビ『オードリー』の若林さんがホスト役で、小説家の方を招いてトークをなさっていた、同名の番組を文字に起こした本だ。最近人気の作家さんのお名前がずらりと並ぶ。私が読んだことがある方って、どなただろう。

朝井リョウさん
西加奈子さん
角田光代さん

このお三方は拝読したことがある。でも皆さん、ブクログでもよくお名前を拝見する人気作家さんばかり。本当ならちゃんと予習をしてから読めばよかったのかもしれないが…。知らないなら知らないで、興味持ったら読めばいいよね、と、さっさとページを開いてしまった。のっけからエッジの利いた対談が面白い。

若林さんは、『感じのいい人』『頭が良くて』『いい人だけど結構冷たいところは冷たい』という印象が、やっぱり今回も強まった。本を、大事に『ご本』と呼ぶ、この番組の感じに、すごくそういう側面が出ていると思う。好きな芸人さんのお一人なので、終始気持ちよく拝読しつつ。流石に売れっ子の芸人さん。言うところははっきり仰るし、マイルドにしなければいけないところは、丁寧に舵を取る。プロのお仕事を感じてしまった。彼が人気者なのも、きっと落ち着いて読書をする時間に、色々考えているからだろうと勝手に想像する。

各回最後に、ゲストの作家さんからお勧めの一冊が紹介され、それを若林さんが、視聴者、ないし読者に出してきてくださる、というスタイル。忘れると惜しいので、書き留めておく。

『シェア』加藤秀行 文藝春秋
『エドウィン・マルハウス』
スティーブン・ミルハウザー 河出書房新社
『あなたを選んでくれるもの』
ミランダ・ジュライ 新潮クレスト・ブックス
『恋愛小説集』(無印/日本作家編)岸本佐知子 講談社
『高瀬舟』森鴎外 集英社文庫
『死の棘』島尾敏雄 新潮文庫
『辻』古井由吉 新潮文庫
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹 角川文庫
『きりぎりす』太宰治 新潮文庫
『村に火をつけ白痴になれ』栗原康 岩波書店
『輝ける闇』開高健 新潮文庫
『ライン』村上龍 幻冬舎文庫

こうみると、皆さん歯ごたえのある本を読破しておられる。『あなたを選んでくれるもの』の訳者は岸本佐知子さんだが、岸本さんの携わった本が2冊入っているのも面白いところだ。島尾ミホさん関係の本は、近年の大ベストセラーになったし…。本に対する嗅覚が鋭いのだろうな…。知らない本がいっぱいあって、かえっていい感じにワクワクした。どんな気持ちの時に読もうか。それにしてもこの番組、もう一度観ることは出来ないのかな。是非再放送なり、新たな番組として放映して欲しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読書案内
感想投稿日 : 2020年5月1日
読了日 : 2020年5月1日
本棚登録日 : 2017年7月25日

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