3月のライオン 8 (ヤングアニマルコミックス)

著者 :
  • 白泉社 (2012年12月14日発売)
4.45
  • (825)
  • (499)
  • (146)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 5976
感想 : 379
5

宗谷名人が、音の無い世界に暮らす人であったことが、
自然に描かれています。
恐らく勝負のプレッシャーや繊細さからくる
難聴なのかもしれませんが…。
名人と桐山くんの、静かな心の繋がりが美しかったですね。

しかしむしろこの巻の読ませどころは棋匠戦。
柳原棋匠と島田八段の熱戦が素晴らしかったです。

なにも背負ってこない人生は、気が楽ですが薄い。
たくさんの事を背負いつくして来た人生は、
重く、本人には焦土しか見えなくとも、
その後には緑が芽吹きます。

まだ柳原棋匠のところに追いつくまでには、人生の年数は
まだまだですが、重いばかりでなにも残っていない自分の
人生を思うと、惨めで涙がこぼれそうでした。

そうして、涙などでどうにかなった気になる、自分もイヤで。

壊れかけた身体にもこころは瑞々しいまま宿るかもしれないし
老いていても燃える火は誰もが自分なりに持っている。

どんな、惨めなひとも、素晴らしい業績を持った人も
人生を生き抜いていくっていうことは、熱く、苦しく。
誰かに軽んじられるなどということは許されない。

そんなことを思いました。

ああ、それからもうひとつ。

川本家のほんわりした風景が挟まれているのは一種の
清涼剤のようなものですが、二海堂くんと桐山くんの
「名前のつく技」の場面など、ふと優しい風が吹く場面が
あるのがよかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミックス
感想投稿日 : 2014年3月26日
読了日 : 2014年3月26日
本棚登録日 : 2014年3月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする