凍りのくじら (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2008年11月14日発売)
4.04
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本棚登録 : 26545
感想 : 2294
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主人公の理帆子は写真家の父の影響で、幼い頃からたくさん本を読む子どもだった。そのせいか、現実感がとても薄い。達観した子どもになった。本の中の方が刺激的て、どうして現実はこんなにも退屈なのだろうと。
理帆子が心の中でする遊び。人の個性をSF、少し〇〇で表現すること。これは藤子F不二雄氏が語ったSFに起因している。「SFは少し・不思議(Sukoshi•Fushimi)」心の中で人の個性を笑ってしまう。また、理帆子自身には少し・不在(Sukoshi•Funai)とし、どこにいてもそこを自分の居場所だと思えない。自分の居場所を探している。居場所を探す旅なのかもしれない。

最後には、あっと驚く小説ならではの仕掛けがあり楽しかった。SFものに対してとても親しみやすくなるのではないだろうか。また、主人公に対して読書好きは共感する部分がとても多いのではないだろうか。



初めての辻村作品に大満足の一冊。
あらすじ?のようなものを書くのはやっぱり苦手だなと感じる。文章を書く力、要約する力、伝える力がまだまだだなと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月17日
読了日 : 2024年2月17日
本棚登録日 : 2024年2月7日

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