高校に入ったばかりのにな川とハツはクラスの余り者同士。やがてハツは、あるアイドルに夢中のにな川の存在が気になってゆく。
第130回芥川賞受賞作品。
「蛇にピアス」との同時受賞で話題になった本作ですが、両方読んでみて個人的にはこっちに軍配でした。
この表現の方法は面白い。作者の本来の意図はわかりませんが、歪んだ愛情表現なのか、サディスティックな恍惚感なのか、はたまたクラスで孤立してる自分より下の存在だと思いたい自尊心からなのか。
まだなにものでもない10代の心の歪みを、ありきたりの性表現やリストカットなどではなく "背中を蹴る" という衝動で表現してしまうところはなんとも新鮮で魅力的。
文章表現のセンスにも脱帽。よくこんな風に書けるものだと感心してしまいました。
娯楽作品とみてしまうと少し面白味にかけますが、純文学的な見方からとてもよくできた作品だと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
綿矢りさ
- 感想投稿日 : 2012年5月27日
- 読了日 : 2012年5月27日
- 本棚登録日 : 2012年5月27日
みんなの感想をみる