物を部屋に置きっぱなしにしていると、「床が抜けるよ!」とよく言われたが、実際に抜けるまでいったことはない。そもそも、抜けるなんてあり得るのか?と思っていたので、タイトルに惹かれて読み始めたのがきっかけ。
友人の建築家の観点から、一平米あたりの積載荷重は、木造住宅等一般住居の場合180キロ、オフィスなら300キロ、図書館は600キロ、と書いてあったり、本当に床が抜けた人に話を聞いたりと、気にはなっていたことに論理的に答えていく本になっている。
「自炊」についても、著者自身の本を自炊したり、自炊を依頼した業者に取材に行ったりと、詳しく書かれている。自炊は少なからず需要があって今後流行るだろうと思っていたので、震災などの経験から他者のためにと活動している業者でさえこんなにも不安定な状態にあるとは知らなかった。新しい業界だからこそ、出版業界と話し合って法整備を早く整え、正当な業者が報われるようになってほしいと思う。
自炊は屠殺に似ている、というのもかなりわかりやすいイメージで、なかなか自分で自炊に踏み切れないのがうまく言語化された感覚だった。
わざわざ本で買ったものを自炊する理由がよくわからなかったが、自分が買った本はやはりその時点で少し他とは異なってくる。長年使用して書き込みをしたりしたらなおさら、という気持ちもよく理解できたし、自分の読書スタイルは一読者で、貴重な資料などではないので、作家のように膨大な紙の資料を読む人の本の管理方法、という視点で読めた。
仕事上、どうしても電子書類などを読むことになりがちだが、紙にくらべて記憶に残りづらいと感じていた。それは自分が電子書籍に慣れないせいなのかと思っていたが、作家の中でもやはり可読性は紙のほうが、と考えている方も多くて少し安心した。紙を捲る感覚、無意識に感じる匂いなど、電子書籍がどれだけ普及しても紙はなくならないと思う。
遺体が見つからないほどの蔵書や、書庫を持つほどの蔵書ってどのくらいの量なんだろう、とも気になった。
妻子との別居となり、自分だけの部屋からの再出発を目指すという意外な結末だった。
- 感想投稿日 : 2022年8月17日
- 読了日 : 2022年8月17日
- 本棚登録日 : 2022年8月14日
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