マリーアントワネットの嫁入りからヴェルサイユを追われるまで(処刑は割愛されている)を瑞々しく描いた作品。お輿入れの時、侍女、服、愛犬までも引き離され身体1つで外国に放り出される不安。宮廷では「オーストリア女」と密かに蔑まれ、自らも娼婦上がりの王の妾をシカトする側に回る。世継ぎを産んで立場を安定させることを期待されるも、肝心の皇太子は錠前オタク、狩好きで不能。プレッシャーの憂さを晴らすようにお菓子や衣装、賭け、舞踏会などの享楽に溺れる。
仮面舞踏会や誕生会などマリーの心が動いた場面では現代の音楽が、形式張った場面ではチェンバロの古典音楽が流れる。パステルカラーの衣装やお菓子は安っぽくなく、素敵。
あえて田舎風に作ったプチトリアノンは、銀座で養蜂とかも同じセンスかな。第一次産業の本当のしんどさを知らず、表層の楽しい所だけをおいしいとこ取り。
オペラで拍手しても誰も追随しなくなったシーンは悲しい。ヴェルサイユの大きさとマリーのちっぽけさの対比が随所で見られる。おバカな女と思う人もいるかもしれないが、どんなに外の様子を知らされても、ヴェルサイユに住んでたらパリの吹き溜まりのようなエネルギーは伝わらないから危機感持ちにくいよね。
情熱はなくとも、最後には夫と同志のような関係になれたのは救いかな。
観てる途中食欲を刺激されてクッキーとチーズを食べてしまいました。
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- 感想投稿日 : 2017年1月16日
- 読了日 : 2017年1月16日
- 本棚登録日 : 2017年1月16日
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