反・幸福論 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2012年1月17日発売)
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人間は生きている限りルサンティマンの感情を持たずにはいられない。一方で生・死という二極の「死」(すべて無に帰していく)という極に視点を置いて物事を見れば、ルサンティマンに身をやつす事は実に馬鹿げたこと。では、馬鹿げた事だから、と達観できるかというと、俗世を捨てて仏に帰依すること以外達観は得られない。人は大いなる矛盾の中で生きている。
著者曰く、P.193「霊性」すなわち何か絶対的なものにすがるほかないという感覚は、そうしないとこの世の‘生’をやりすごすことができないという絶望感から始まる。そして、霊性の目覚めは生そのものの罪の自覚(自分の心の中には常に煩悩があるという自覚)によって覚醒するほかないのです。
勿論、人を羨む気持ちを持たなければ心は平安で幸せな状態であろう。しかしそれは不可能ということになれば信仰心を持つということなのではあるがそれもなかなか難しい。
信仰心とは言えないかもしれないが、「感謝の気持ち」というのは持てそうだし、信仰心にやや近いような気がする。最悪の時でも物事を俯瞰し感謝の気持ちを持つこと。自分の中の煩悩を否定するのではなく(否定しても存在し、消せないものだという自覚を持って)現状を日々刻々感謝することか・・・・
最悪すぎて感謝する点が見つからないときは、時間をかける。必ず良い心の状態が来ることを信じて待つ?
ほかにどんな方法があるだろうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人生
感想投稿日 : 2012年4月11日
読了日 : 2012年4月11日
本棚登録日 : 2012年4月11日

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