大学に復学するために金が必要だった芳光は、報酬目当てに小説探しを伯父に内緒で引き受ける。
調べていくうちに、小説を書いた依頼人の父親が未解決事件の容疑者だったことを知る。
事件の真相は何だったのか?
不景気をまともに受けた芳光の父は、金策に疲れ果てて事故死した。
ひとりきりになった母は、学業が途中の芳光を案じながらも家に戻ってくるように懇願する。
そして、大学生活を謳歌していた芳光は、突然の環境変化についていけずに大学へ戻ることを諦めていない。
五編の小説を探していく中で芳光がたどり着いた真実は、愛ゆえの哀しみにあふれたものだった。
いい物語だったとは思う。
でも、残念なことに登場人物の誰にも共感できなかった。
どうすることが一番いいのか、自分はどうするべきなのか。
芳光が迷っている間も時間は過ぎていく。
なぜ依頼を受けてしまったのか。
その答えに気づいたとき、初めて芳光は現実を受け入れ明日を考えるようになったのだと思う。
ミステリーではあるけれど、青春の真っ只中にいる挫折を知った人間を描いている物語でもある。
派手さはなく、どちらかといえば重い空気が漂っている。
結末には「なるほど」と思えるものがあったけれど、ミステリーとしての面白さはあまりなかったように思えた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2017年3月15日
- 読了日 : 2017年3月15日
- 本棚登録日 : 2017年3月15日
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