『今日もまた無数の小猫の毛を吹いたような細かい雨が、磯部の若葉を音もなしに湿らしている。家々の湯の烟も低く迷っている。疲れた人のような五月の空は、時々に薄く目をあいて夏らしい光を微かに洩らすかと思うとまたすぐに睡むそうにどんよりと暗くなる。』
言葉の選び方、文章の切り方、感じの使い方、どこをとっても完璧な文章で、すっきりしてるのに柔らかくて温かい。気持ちを乾かさないためにも、こういう美文を読まないと!本は内容も大切だけれど、文体や装丁も大事。ときにはそれが内容を上回ることだってあるのさ♪
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2012年12月6日
- 読了日 : 2012年12月6日
- 本棚登録日 : 2012年12月6日
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