ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録 (講談社文庫)

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  • 講談社 (2013年11月15日発売)
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元三井住友銀行頭取、日本郵便初代社長である西川氏の回顧録。大銀行の社長になる人はやはりただ者ではない。仕事に対する熱意や考え方、リーダーシップも格段に高い。結局、郵政民営化に反対する議員たちに退陣させられたが、政治家のお粗末さがよくわかった。日本の政治の問題は何とかならないものか。あまりに自分勝手すぎで、選挙のことしか考えていない。情けない。
「いい会社とも、よくない状態の会社とも付き合った。そしてわかったのは、会社はやはり最後は人だということだ」p49
「(安宅処理について)休みなどなかった。平日も毎晩毎晩、深夜まで仕事が及んで、電車もなくなり、タクシーで帰っていた」p79
「安宅の損失2000億円を合計16行が協力して負担することに決まった。裏を返せば、日本の銀行業界にある横並びの体質の賜物なのかもしれない」p84
「(ゴルフ場内の送電線を)、大変な交渉をして鉄塔の位置を変えてもらった。これを強引な交渉と後で言うのは自由だが、当時はとにかく安宅の追加損失を回避するために、あれも大変、これも大変などとは言っていられない気持ちだった。どんなに困難なことでも相手の了解をどうしてもとりつけなければならないとなったら、部長の私がやりきるしかない。部下を難しい交渉の矢面に立たせるわけにはいかなかった」p92
「直前に山一証券の破綻があり、窓口販売要員と、そのリーダーを務められる人材を約150人も山一証券から採用できたのも運がよかったと思う」p158
「経営は、失敗を全体として一定範囲内に納める技術ともいえる。完璧主義、満点主義からは何も生み出せない」p188
「官の事業というのは、本質的なところで改革意欲や競争力強化という意欲が乏しい。民間企業であれば競争に負ければ市場から退場させられてしまう。生き残りたいと思うならば、スピードを上げて全力で取り組むしかない。その点、官の事業には退場がない」p229
「リーダーシップとは、直面する難題から逃げないことである。リーダーが逃げないから部下も逃げないし、前のめりで戦う。遅滞なくスピード感をもって決断する」p301

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感想投稿日 : 2018年11月12日
読了日 : 2018年11月12日
本棚登録日 : 2018年11月12日

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