資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

  • 日経BP (2008年4月17日発売)
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シカゴ大学経済学者でありノーベル賞受賞者でもあるミルトン・フリードマンの主要図書。政府による公共投資、規制、増税、保護貿易など、資本主義に制約を与える事項を批判し、徹底して自由を推奨している。当時、信奉者の多かった社会主義やケインズ経済学と真っ向から対立する意見を50年以上前から唱えていた先見性は驚きである。(今では世界の常識ではあるが、当時は異端視されていたようである。)競争的市場第一主義のシカゴ学派を代表する書籍といえ、必読の一冊と考える。
「政府の仕事は、個人の自由を国外の敵や同国民による侵害から守ることに限るべきだ」p25
「そのうちいつの間にか、政府は進歩より現状維持を、多様性より可もなく不可もない均質性を選ぶようになるだろう」p27
「自由よりも福祉や平等が重視されるようになり、めざす目標を達成するのに、民間の自主的な取り組みよりも国家に頼ろうとするようになった」p30
「(市場は差別を排除するから)競争資本主義が維持され強化されたとき最も恩恵を受けるのは、黒人、ユダヤ人、外国人など少数集団である」p61
「経済の安定のためにも成長のためにもいま必要なのは、政府の介入を減らすことであって、断じて増やすことではない」p92
「人は自分が多数派の時に他人の言論の自由を奪うのは平気でも、自分が少数派の時に言論の自由を奪われるのは大いに気になる」p114
「私の知る限りでは、ケインズ理論を裏付ける系統的なデータや一貫性のある証拠は存在しない」p167
「競争原理が働く制度を導入すれば、優秀な先生に報い有能な人材を呼び込めるようになるので、現在の(教育の)多くの問題点が解決すると期待できる」p188
「人種や宗教や皮膚の色などを理由に差別する人は、他人を不利に陥れるだけで自分は不利にならないと考えられている。これは、輸入品に高い関税をかける国は他国を不利にするが自国は有利になるという見方と根は同じである。だがどちらもまちがいだ」p211
「ある職種なり産業なりで労働組合が賃上げに成功すると、そこでの雇用は必ず減ることになる」p234

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年11月4日
読了日 : 2018年11月4日
本棚登録日 : 2018年11月4日

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