量子コンピュータが人工知能を加速する

  • 日経BP (2016年12月9日発売)
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量子力学の専門家による量子コンピューターの話。難解な量子の世界について、簡単に説明しており、その概要がわかった。カナダの企業が製品化している量子コンピューターは、今のコンピューターの1億倍の処理能力があるらしいが、グーグルやNASAも積極的に開発に参画しており、今後大きく発展していく分野だと感じた。
「従来型のコンピューターは、性能が次第に頭打ちに達してきたので、より高性能な量子コンピューターの開発が期待されているのだ」p15
「従来のコンピュータの心臓部がプロセッサだとすると、D-Waveマシン(D-Wave 2X)の心臓部は量子ビットを実装する超伝導回路(ニオブという金属を使った超伝導)になる。価格は、約15億円。見た目は巨大な黒い箱で3m四方の大きさだ。箱の中には「希釈冷凍機」があり、超伝導回路を絶対零度に限りなく近くなるまで冷やしている。消費電力は、25kWで、そのほとんどが希釈冷凍機に使われている。25kWというと、スーパーコンピュータ京のおよそ1/500だ」p26
「(量子アニーリング)金属を高温にしてからゆっくり冷やしていくと構造が安定するという「焼きなまし(アニーリング)」という現象を使ったもの」p28
「量子アニーリング方式は、(主流と思われている)量子ゲート方式に比べて安定性が格段に高いのである」p32
「横磁場をかけると0と1が同時に存在する奇妙な状態が実現する。横磁場をだんだん弱くすると量子ビットは、次第に上か下かどちらか決まった方向を向くようになり、横磁場がゼロになるころには、量子ビットがはっきりと0か1のどちらかになっており、その結果が、組み合わせ最適化問題の解を表しているのである」p36
「物理学者ファインマン)量子力学がわかったと思っているうちは、量子力学がわかっていない」p126

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感想投稿日 : 2018年10月21日
読了日 : 2018年10月21日
本棚登録日 : 2018年10月21日

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