オープニングショットは長々とパリの街並みを映しているだけなのだけれど、さすがの画作りを披露していてあっという間に惹きこまれる。20年代のアメリカ文学史に精通しているとニヤニヤできます。なにしろヘミングウェイやフィッツジェラルドが有名な伝記的エピソードを実演(?)してくれるのである。特にヘミングウェイなんか傑作(些かカリカチュアが効き過ぎな気もするが)。「黄金時代」への憧れが高じて作家志望の青年が実際に20年代のパリに入り込んじゃうところは、『カイロの紫のバラ』で凡庸な主婦の映画好きが高じてスクリーンから実際に役者が飛び出してくるシーンと好対照をなしている。美しい夢のような世界が栄えるのは厳しくて退屈な現実があればこそ。逆もまた然り。
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DVD
- 感想投稿日 : 2018年11月9日
- 読了日 : 2013年5月25日
- 本棚登録日 : 2018年10月9日
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