壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年9月3日発売)
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本棚登録 : 6263
感想 : 639
5

武士道っていったいなんなのだろう。
なぜ、こうまで馬鹿らしいと思いながらも、惹かれてしまうのだろう。
殿様ではない、家族という真の主のために義を通した、
吉村貫一郎という本当の武士の生き様に触れ、胸を打たれました。


武士として、大切な家族のために、貧乏に抗い、懸命に生き抜いた吉村貫一郎。
憎い憎いと言いながら、「死ぬな、吉村」と死地に飛び出そうとした斎藤一。
自分たちが憧れた眩い姿を見せる吉村に羨望の眼差しを向け、なんとか生き延びさせようと奮闘した新撰組の面々。
身分の違いというどうしようもない壁がありながら、それでも友情のために尽力した大野次郎右衛門。
花嫁入りの際、足元を提灯で照らす貫一郎が見えたとこぼしたみつ。
脱藩者の家族と百姓の身分という苦しみに悩みながらも、それでも大好きな父のために戦った嘉一郎。

各キャラクターの心情に触れながら物語を追い、
吉村貫一郎という男を知るたびに涙涙だったのですが、特にラスト、
盛岡の地に次男が帰った時のあの風景、言葉を見たとき、もうダメです。
感情がぐちゃぐちゃになって大号泣しながら読了しました。

こんなに面白い小説に出会えて幸せです。
浅田次郎さん、ありがとうございました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年2月22日
読了日 : 2024年2月22日
本棚登録日 : 2024年2月22日

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