著者の自伝的長編小説です。
「人間とはつまり、よくわからん、と言うことだ。・・・。しかし、わかっていることはひとつだけある。・・・。それは、死だ。人間は必ず死んでしまう、と言うことだよ。そのことだけがたしかにわかっているんだ。わからんことだらけで、わかっていることが死というのが人間なんだ」(P167)、「のんびりした仕事に見えるだろう。杉の木もひどくのんびりしているように思うだろう。けどそうじゃない。杉の木も必死で伸びようとしとる。それが春になってこの手でさわってみるとよくわかる。木が伸びた分だけ連中も必死で生きとるのがわかる。生きるものは皆そういうものだ」(P418)が示唆に富んでいると思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
伊集院静
- 感想投稿日 : 2013年7月20日
- 読了日 : 2013年7月20日
- 本棚登録日 : 2013年7月20日
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