暗い。ものすごく暗い。でも、どんどん引き込まれる。
人々の暮らし、村のおきて、自然の情景を、感情を差し挟むことなしにひたすら淡々と描写し、その中から過酷な運命に翻弄される人々の姿を浮かびあがらせていく。登場人物のひとりひとりに感情移入させられるということではないのだけれど、物語全体がしっかりと心に訴えてくる。何だかチヌア・アチェベの「崩れゆく絆」を読んだときの感じに似ている。舞台設定は全く違うのだけれど……
苦しみながら生きていくこと自体が目的のような人生にどんな意味があるのだろう。共同体(あるいは人間という存在自体)が業のようなものを背負っていて、それでもそれを絶やしてはいけないのは何故なのか…… 結末には、暗澹たる気持ちにさせられた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内小説
- 感想投稿日 : 2018年12月1日
- 読了日 : 2018年12月1日
- 本棚登録日 : 2018年12月1日
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