アカガミ

著者 :
  • 河出書房新社 (2016年4月9日発売)
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本棚登録 : 788
感想 : 139
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日本の近未来~2020年東京オリンピックの後、青少年の自殺率は低年齢層を中心に増加。
その理由は2020年に発表された生物学者の「2000年以降に生まれた若者の寿命は40歳までもたないかもしれない」による。
若者に思春期がみられなくなり、異性を求める情動が欠落した。異性の身体を見たいと、触れたいとも思わない若者が増え、少子化はすすむ一方。

ミツキは、不倫で出て行った夫のために精神が安定しなくなった母を二人で暮らし、介護職についている。
ある店で薬を大量に飲んで自殺をしようとしたことで、ログという謎の女性と知り合う。
彼女の言葉から「アカガミ」に登録。
「アカガミ」は、政府の少子化対策で、ある一定の年齢の男女をカップリングして、番わせて、子をもうけさせるもの。

ミツキの相手サツキは、ミツキとは生まれも育ちも違う青年だった。また「アカガミ」に登録した理由も違う。

ふたりはゆっくりと距離を狭め、妊娠に成功するが・・・



ありそうで怖い。
恋愛の過程を、サンプルのようにとりだしてみせている窪さんの手法も面白い。
ラストは皮肉な結末をうまく書いていると思う。
ちょうどナチスの優生思想についてのドキュメンタリーを見たところなので。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年10月30日
読了日 : 2016年10月30日
本棚登録日 : 2016年10月30日

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