作品の中で最も血が通ったように思えキャラクターに親しみを感じていた主役級の人間が、いとも簡単に殺されてしまったときの、
あの、待って行き場のない、苛立ちと焦燥を感じる不安定な物語だ。
作家という職業のナイーブさが、この主役級の男性は、物心ついたころからの家族の呪縛から成っていて、不完全な家族に感じる恐怖に雁字搦めにされて生きている。
私はもう少し家族について楽観的に考えているけれど、それは私の強さゆえではなく、一般的で中流の家庭に生まれた幸運ゆえだろう。
つかみどころのない、魅力的でもない登場人物ばかりで終わってしまうこの話を私は愛せないけれど、
家族ほど呪縛になる人間関係は他にはないのだという確信を新たにした作品だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年2月11日
- 読了日 : 2017年2月11日
- 本棚登録日 : 2017年2月11日
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