三島由紀夫のSF風純文学。
書かれたのは、1962年、東西冷戦時代。核兵器使用への恐怖が色濃かった。
人類滅亡への現実的な不安感が、漂う時代。
埼玉県のある家族が、それぞれ地球外の宇宙人である事に気づく。父は火星、母は木星、息子は水星、娘は金星出身。
家族は、特に父親は地球を破滅から救うべく、宇宙人であることは隠し、世界平和に向けた活動をする。
あくまで、三島由紀夫らしい美しい文章で、綴られる家族の活動は、藤本義一の重喜劇のごとく重コメディのようです。
対して、宮城県に、白鳥座の未知の惑星からの宇宙人3人組が、人類をいっそ滅ぼそうという思想のもと活動を始める。
全10章からなりますが、8から9章の宇宙人それぞれの地球に対する意見の応酬は、救済派と滅亡派ともに真理を得ている。
政治的な側面があり、SFを描きたいというより、宇宙人という俯瞰的な立場を利用して、多少コメディ風に、三島由紀夫の当時の緊張した政治への意見を書きたかったのかと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学忌
- 感想投稿日 : 2023年11月25日
- 読了日 : 2023年11月25日
- 本棚登録日 : 2023年11月25日
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コメント 3件
Manideさんのコメント
2023/11/25
おびのりさんのコメント
2023/11/26
Manideさんのコメント
2023/11/27