“春が二階から落ちてきた”
後書でも触れられているけれど、なかなかキャッチャーな書き出し。作中で、主人公兄弟イズミとハルが、幾つかの小説の冒頭部分を二人で暗唱する場面があったね。思考が似ている仲良し兄弟って感じが良いなって感心しました。
最近の伊坂作品を読み切れていなかったけど、再読だったからか、振り回されず楽しめました。もう二十年前の作品なんですね。既に、エンタメ的な作風ですけど、このへんの作品が好きかな。
ハルの出生の厳しく哀しい現実。それにヘコタレナイ(そんな感じ)素敵な家族。表面的には凪の中で、ハルは苦悩し葛藤し続けている。許す事のできない重いテーマを、軽妙に読ませてくれる。そして、DNAに勝る仲良し兄弟は不滅で、ハルは又二階から落ちてくれる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2022年8月13日
- 読了日 : 2022年8月13日
- 本棚登録日 : 2022年8月13日
みんなの感想をみる