男どき女どき (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1985年5月28日発売)
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本棚登録 : 1398
感想 : 113
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向田邦子文学忌 1929.11.28〜1981.8.22
木槿忌 (むくげ) 山口瞳の向田邦子の死を受けての小説「木槿の花」より

小説新潮で昭和56年7月から連載された短編4編とエッセイ

最後の小説「嘘つき卵」
不妊に悩む妻と、過去に別の女性を妊娠させたので自分に問題ないという夫。という話だけれど、この作品が最期の原稿となり、脱稿後、台湾旅行の飛行機事故で亡くなる。

冒頭に
時の間にも男時女時とてあるべし「風姿花伝」
とあり、タイトルが世阿弥の能の理論書よりとられていることを知る。

男時女時の言葉の成り立ちについては知らなかった。意味はざっくりと、男時が運が良い時。女時が悪い時ですが、世阿弥が陰陽説から考えた造語のようです。世の中のことは、全て陰陽に分けることができ、男女であれば、男が陽で女が陰となります。本来は、陰陽に優劣はないのですが、世阿弥は、能に良い時悪い時があり、因果が巡っているというような意味合いで使うようです。

向田さんの短編は、シュッツとしてギュときてバチんって感じで好きです。このタイトルは連載時から使われていたようです。脚本家としてエッセイストとして小説家として(前回の新潮連載の思い出トランプで直木賞を受賞している)男時を過ごしてこられた方のあまりに不運な事故であったと思います。

印象的な作品は「三角波」
結婚を控えたカップル。夫は何かにつけて部下の男を呼びつけ世話をさせる。部下の様子に妻は、自分に好意があると思う。部下は結婚式を病気として欠席する。新居で夫婦で迎えた朝、庭に部下の姿を見つける。部下が愛していたのは、夫だった。で、ここからの1ページが良くて、たぶんこの状況をやり過ごしていく新婚夫婦。壊さなければ壊れない。これが一番好きでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学忌
感想投稿日 : 2023年8月22日
読了日 : 2023年8月22日
本棚登録日 : 2023年8月22日

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コメント 4件

傍らに珈琲を。さんのコメント
2023/08/24

おびのりさん

風姿花伝を知らなかったので検索しました。
能の厳しさも儚い美しさも見事に捉えた言葉ですね。
時分の花と相反する言葉が真の花だとか。
年齢の若さ等の一時の美しさではなく真の美しさを、という教えでしょうか。
深いな~。

三角波も気になります。
今こそドラマ化されそうな内容ですね。

おびのりさんのコメント
2023/08/24

こんばんは。
コメントありがとうございます♪
まずは、こちらから。
私も、世阿弥のこの芸能の書物がある事は知っていたのですが、内容は知らず。
今回、本の最初のページに記載されていて、この言葉はここからきている事を知りました。そして、作り方がオシャレですよ。まさか陰陽説まで関係しているとは。
向田さんの短編好きなので、読むだけでも良かったのに、豆知識まで得ることができました。

傍らに珈琲を。さんのコメント
2023/08/24

1つの作品からアレを学び、コレと繋がり…って楽しいですよね。
読書や音楽鑑賞は、このアレコレが訪れた時が楽しくて仕方ありません♪

おびのりさん、作家さんの忌日をよくご存知でいらっしゃいますよね。
それとも何かでチェックされているとか???
私も、命日にはその方の作品を…と思っているのに、
作家さんについては覚えていないので、いつもスルーしてしまいます。
ジョン・レノンや忌野清志郎など音楽に関してはある程度覚えているので、
その方の曲を聴いて偲んでいるのですが。

おびのりさんのコメント
2023/08/25

文学忌は、覚えてないので、調べます。
今なら、Wikipediaにもあります。
元々は、文学忌が俳句の季語に認められているのを知って、文学忌を使った俳句を詠めたら、カッコよきだわと思いまして。そして、文学忌を覚えて、俳句に作品まで入れられたらと。それなら、読むのが一番良い。そしたら、読むのが楽しくなって、俳句の事は、置き去りになっています。

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