つめたいよるに (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1996年5月29日発売)
3.62
  • (1064)
  • (1164)
  • (2553)
  • (159)
  • (31)
本棚登録 : 14151
感想 : 1166
3

ショートというよりショート・ショート。
200pあまりで21編。1編10p弱。その中で、登場人物の年齢層性別を変えて、一つの物語として完成させてくるのですから、江國さんの創作意欲が伝わります。
「デューク」は、高校教材とか試験に取り上げられていることは知っていたので、読んでみたかった作品。ジェームスディーンに似たキスの上手い愛犬デュークを亡くした後、知り合った少年とデート。彼は、ジェームスディーンに似ていてキスがデュークに似ていた。というようなストーリー。ペットロスの女性の甘い夢のよう。江國さんは、文章をあまり書き込まないで、行間を読ませる以上にラストの余韻を読み手に委ねてくると思う。思うままに受け取れば良い作品が多い。私は読んで、作品の意図がわからない物もあるし、読む時の心境で余韻が変わったりするし。そんな作品を、解説して答えを求める先生達って、大変な労力が必要ですよね。
「ねぎを刻む」孤独を感じた女性が、ひたすらねぎを刻む。そして、たっぷり食べる。孤高感さえ漂う。これが一番好きかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新潮文庫
感想投稿日 : 2022年9月3日
読了日 : 2022年9月3日
本棚登録日 : 2022年9月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする