ショートというよりショート・ショート。
200pあまりで21編。1編10p弱。その中で、登場人物の年齢層性別を変えて、一つの物語として完成させてくるのですから、江國さんの創作意欲が伝わります。
「デューク」は、高校教材とか試験に取り上げられていることは知っていたので、読んでみたかった作品。ジェームスディーンに似たキスの上手い愛犬デュークを亡くした後、知り合った少年とデート。彼は、ジェームスディーンに似ていてキスがデュークに似ていた。というようなストーリー。ペットロスの女性の甘い夢のよう。江國さんは、文章をあまり書き込まないで、行間を読ませる以上にラストの余韻を読み手に委ねてくると思う。思うままに受け取れば良い作品が多い。私は読んで、作品の意図がわからない物もあるし、読む時の心境で余韻が変わったりするし。そんな作品を、解説して答えを求める先生達って、大変な労力が必要ですよね。
「ねぎを刻む」孤独を感じた女性が、ひたすらねぎを刻む。そして、たっぷり食べる。孤高感さえ漂う。これが一番好きかな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2022年9月3日
- 読了日 : 2022年9月3日
- 本棚登録日 : 2022年9月3日
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