英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

  • 亜紀書房 (2013年4月9日発売)
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どうせ、外国人の日本食食べ歩きなんでしょ、と期待せずに手に取ると、冒頭で日本について書くときの制約リストとして、

・日本のトイレのテクノロジーの複雑さについて面白おかしく話さない
・ゴスロリのティーンエイジャーにこっそり近づいて写真を撮らない
・夜の都会を言い表すときに『ブレードランナー』を連想しない。

なんてのがあり、いきなり笑う。
過剰なほどの(つまらない)ギャグにまみれ、英国人のシニカルな見方ってこうだろうなあ、と思う日本への視線、そしてあまりにも詳しい日本食への記述…これは、イザヤ・ベンダサン的な外国人の名前を騙った日本人ではないのだろうか??とずっと疑っていた。が、スコットランドをディスる記述で、あー、こんなこと書けるのって英国人だろう、と納得。

外国人から見た日本料理っていうのは非常に面白い。外国のクックパッドみたいなサイトで、イタリア人やポーランド人の作るお好み焼きやちらし寿司のレシピを見て面白がっていた。その「外国人目線の日本食」の集大成みたいな本。天ぷら、懐石から、大阪の串カツ、思い出横丁の焼きそば、味噌ラーメンから流しソーメンと多岐にわたる。
大阪のお好み焼きに感動し、京都の流しそうめんには幻滅し、北海道ではカニをもっと食べればよかったと後悔する。京都でゲイのホストにつきまとわれ、相撲部屋の冷蔵庫をこっそりのぞきケーキもチョコレートもないのにがっかりし、東京の天ぷらや(たぶん「みかわ」)ではスコットランドの「マーズバーフライ」を説明して怪訝な顔をされる。

「食感のバリエーションとコントラストは、今回の日本食べ歩き旅行で得た最大の発見だった。」(P 194)との感想にあらためて納得。
そういえば、外国のレシピサイトで、コーヒーゼリーが日本発祥だと知った。そこでは「日本人は味のないゼリーに甘い蜜をかけるんだぜ!」との驚きが書かれていたが、これって、葛切りの発想。
つまり、「食感」と「味」を分けて味わう食べ方。さらに蕎麦になると「香り」が加わる。
この「食感」「味」「香り」を別々に味わうというのを先鋭的にやったのが、ファロンの「エル・ブジ」なんだろう。

テリー・ギリアムで映画化希望。主演はもちろんマイケルペリン。テリー・ギリアムのアニメーションを混ぜながら。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年4月2日
読了日 : 2014年3月18日
本棚登録日 : 2014年3月13日

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