プチ哲学 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社 (2004年3月1日発売)
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感想 : 418
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NHKの“お母さんといっしょ!”からブレークしたヒット曲「だんご三兄弟」の詞とアニメの作者として一躍有名になった、元電通のカリスマクリエーターの佐藤雅彦氏が描いた、ちょっと不思議な本です。

佐藤さんは、慶応大学で教鞭を執り、自分の研究室を作ってしまったり、NHK教育テレビでは「ピタゴラスイッチ」をトータルプロデュースするなど、意欲的に創作活動を展開していらっしゃいます。

その佐藤さんが、日常の何気ない出来事を切り取り、着想のやわらかさで、“物事を違う視点から見ることの楽しさ、面白さ”を教えてくれるのが、本書です。

ひよこは誕生する前に、卵の中で、「外に出るにはどうしたらいいか」の説明書を読んでいる、とか、辞書が、自分とは何かの定義に悩み、自分の辞書を引く、というような、ほんのり笑えて、少し考えさせるエピソードがちりばめられています。

佐藤さん得意のイラストと柔らかなポエティックな文章で、あっという間に読めてしまう本ですが、なんか、何度も読み返してみたくなる「するめ」的な面白さ、気付きの豊かさを併せ持っている、意外に深い本だと思います。

まぁ、そこいらへんが、タイトルの「プチ哲学」なんでしょうね。

昔からそうでしたが、佐藤雅彦という人の、「知的な遊び」というジャンルにおける存在感は、ちょっと抜きん出ている気がします。

というか、他にこういう人いるんだろうか、って感じ。もしかして、オンリーワンなのかも。

かなり憧れてしまいます。ワタシにとっての目標というか、理想の人かも知れません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思想・哲学・考え方
感想投稿日 : 2011年6月22日
読了日 : 2011年6月21日
本棚登録日 : 2011年6月22日

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