ある少女が、大切にしていた植物図鑑をばらばらにしてしまい、どうにかならないかと思っているところにユリウールの噂を聞いて、ユリウールを捜し始める。そして、本に新たな命を吹き込むユリウールを間近で見つめることになる。
ユリウール(Relieur)というのは、手作業で製本・装丁する職業・職人のこと。もう一度つなげる、という意味もあり、製本は60工程にも及ぶようです。日本には存在しません。
あたたかい内容の作品で、本を大切にしているというのがひしひしと伝わってきます。「わたしも魔法の手をもてただろうか。」のところでぽろっと泣いてしまいました。
ユリウールの仕事場は説明されても覚えきれないような量の器具や道具がたくさん置いてあるので、1ページめくるたびに思わず声を出してしまうような、「おもしろくて素敵な本なんだけど、早く次に進むよりもじっくり1ページ1ページ見ていきたい本」でした。
最後は数年後の少女の様子が描写されています。とてもあっさりと終わってしまったので「あれっ」と思いましたが、説明が少ないだけに色々想像されて、そこに行きつくまでの少女の様子だとか、おじさんのその後というのも考えてしまって、また泣いてしまいました。
子供にはもちろん、絵本を読む機会の少なくなった大人にも読んでほしい絵本です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童文学
- 感想投稿日 : 2009年10月30日
- 読了日 : 2006年10月22日
- 本棚登録日 : 2006年10月22日
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