愛も恋も若さも、ずっとそのままじゃいられない。
諸行無常を生きる女性たちの短編集。
ページをめくると、ぽつりぽつりと過去が滴ってくる。きっとこの本を読んだ他の誰かも、私とは違う過去に思いを馳せたのだろう。
主人公の女性たちのほとんどは、本能的で、愛の前ではとことん無力。それは自分とは違う生きものなのではと疑ってしまう程に。
ぴかぴか光る今も、そのうち傷がたくさんついて、手に入れた頃のようには光らなくなってしまう。それを劣化だと思うか、それとも経年変化だと思うかは、その時の自分の気持ちによって変化するものだから、恐がり過ぎたって仕方がないのかもしれない。ものはみな平等に変わっていく。たとえくい止められたとしても、残るのは以前のそれとは違うもの。
誰にも分かってもらわなくて良い。安全でも適切でもなくても、私しか知り得ない幸福だってある。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
恋愛
- 感想投稿日 : 2022年6月17日
- 読了日 : 2022年6月15日
- 本棚登録日 : 2019年5月29日
みんなの感想をみる