更年期少女

著者 :
  • 幻冬舎 (2010年3月1日発売)
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本棚登録 : 728
感想 : 146
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 往年の人気少女漫画「青い瞳のジャンヌ」のファン定例会は今回も池袋のフレンチレストランで行われた。参加者の6人はお互いをエミリー、マルグリット、ジゼル、ミレーユ、シルビア、ガブリエルなどと高貴な名前をつけて呼び合っているが、そのほとんどが趣味の悪い派手な服を着た中年のオバさんたちであり、実は周りからは失笑を買っている。思う存分ジャンヌの話をし、会報を作るために原稿をかいたり挿絵を入れたりするだけの楽しい会だったはずなのに・・・。見えない確執、そしてメンバーに連続して起こる不幸な死。実はこの「青い瞳のジャンヌ」、最終回が少女漫画にはありえない展開で物議を醸したという曰く付きの作品。一連の事件はこの作品の呪いなのだろうか?

 オタクのおばさん達が、それぞれが現実にかかえる問題(DVだったり介護生活だったり子供の不登校だったり)をひた隠しにしてこの定例会でだけは華やかな世界を楽しむというその姿は、滑稽でどこか悲しくて。でも自分も似たようなものだから、それを決してバカにできないのが悲しいところ(爆)。まぁ一線だけは越えないようにして、ここまではならないようにしないとなぁと改めて心に誓った(苦笑)。各章で6人それぞれの現実に抱える問題が明らかになっていくとともに、メンバーがどんどん不幸な死をとげていく。関連はあるのか?そして、みんなが憧れる唯一若くて美しいガブリエルの正体は?真相は正直全く予期していなかったものだったので、最後を読んで「やられた!」と思った。そういう前提で話を読み返すと、また全然印象が違う。若干反則的な表現もあったけど、やっぱりうまい。これがなくても十分楽しめる作品だっただけに、油断していた。おもしろかった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸本(日本)長編
感想投稿日 : 2010年9月9日
読了日 : 2010年9月8日
本棚登録日 : 2010年9月9日

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