石坂壮馬は大津市役所に就職し、生活保護担当のケースワーカーとして働き始めた。しかし希望する者と面談をしたり、実際にその人の生活しているところへ行って調査したり、受給者からの相談を延々と聞かなければならなかったりと、その仕事内容には早くも嫌気がさしていた。ある日、駅でホームレスを保護した後によく住まいとして紹介していたあすなろ荘で、奇怪な話を聞く。ねずみ小僧を名乗る何者かから、突然3万円をもらった生活保護受給者がいるというのだ。
ちょっと期待していた方向とは違った話だった。確かに、受給希望の人を全員受け入れていたら崩壊してしまう制度において、調査して可否を決定する仕事というのは必ず必要で、その仕事では揉めることも恐喝に合うことも承知で打ち切りの宣言をしなければならないこともあるだろう。しかしそういう面がかかれているのは割合としてはそんなに多くなく、それよりも突然現れた、生活保護受給者に対してお金をばらまくねずみ小僧(現代で話題となった伊達直人のような感じ)が誰かという話がやはりメインとなってしまう。そういうのではなくて、仕事上生活保護受給者と接することも多く、正直疑問も多数ある私は、現場で実感するもっとリアルな問題の追及を期待していたんだけどなぁ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文芸本(日本)長編
- 感想投稿日 : 2013年11月3日
- 読了日 : 2013年10月25日
- 本棚登録日 : 2013年11月3日
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