横浜市消防局に入局してまだ1年半の高柳蘭は、日々訓練に励むが、同じポンプ隊の男性隊員にはなかなか認めてもらえずいまだ「お嬢ちゃん」扱いされていた。しかしある日、誤作動とはいえ出場した先で、間違いなく点検したはずの空気呼吸器の残量が減っていることに気づく。状況からして同僚の犯行を疑わざるをえない蘭は疑心暗鬼に陥ってしまう。そしてさらにそれを裏付けるかのように、蘭の自宅に「消防士、辞めろ」という手紙が届く。
以前、日明恩の「ロード&ゴー」で女性救急隊員の話を読んだことがあるが、消防はさらに女性にとっては過酷と思われる職業。「お嬢ちゃん」と呼ばれながらも決して女性であることを理由に許されることはない、体力もスピードも精神力も、全て男性と同等な能力を要求される世界。本当にこんなことができる女性がいるんだろうかと思ってしまうが、実際に存在するんだもんなぁ。犯人探しや動機についてはあまりに陳腐に思えたが、それ以外、仕事部分の描写でぐいぐい引き込まれるし、普段ボロクソに言いながらも、いざという時のチームプレイというか、仲間たちとのやりとりにはやはりグッとくるものがある。シリーズ化されているようなので、次にも期待。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文芸本(日本)長編
- 感想投稿日 : 2014年7月31日
- 読了日 : 2014年7月20日
- 本棚登録日 : 2014年7月31日
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