文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫 ダ 1-2)

  • 草思社 (2012年2月2日発売)
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「銃・病原菌・鉄」上下巻、読み終わりました。

非常に勉強になりました。

アメリカ大陸にヨーロッパ人たちがやってきた時、彼らが原住民の文化を駆逐することになった直接の原因は、ヨーロッパ人が「銃・病原菌・鉄」を持っていたから。
…ということで付けられたタイトル。

読み始める前までは、なぜヨーロッパ人たちが、銃や病原菌や鉄を持っていたのか、という小さい問いに答える内容なのかと思っていたんですが、さらに広い科学的考察の数々を知ることができました。

アフリカで生まれたと思われる「人類」が、どんなタイムスケールで各大陸や島々に渡っていったのか。

そこで暮らす人々が、どのように食糧生産を始めたのか、始めなかった場所ではなぜ始めなかったのか。


考古学的な考察や、遺伝学的考察に加えて、言語学的な考察も加えて、各大陸での人々の暮らしがどうなっていったのか、それが現在の状況にどう関わっているのかの大まかな流れを知ることができました。


「人類の長い歴史が大陸ごとに異なるのは、それぞれの大陸に居住した人々が生まれながらにして異なっていたからではなく、それぞれの大陸ごとに環境が異なっていたからである」

人種の優劣があるのではなく、大陸や土地の特性や、人類がそこに到達したときの技術力など、様々な要因によって作り上げる社会が異なっていった結果、今があるのだ、という「歴史科学」。


地球を俯瞰して、人類が発生して、少しずつ住居地を広げていって、そこでどうやって暮らしていて、どんな工夫をして、どんな社会を作っていったのか、ジオラマを見ているような感覚で読みました。

歴史を「科学」で考察する。

確かにこれはベストセラーになるわけだ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般教養・科学・医学
感想投稿日 : 2023年9月8日
読了日 : 2023年9月9日
本棚登録日 : 2023年9月8日

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