浮遊霊ブラジル

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年10月24日発売)
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本棚登録 : 893
感想 : 133
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初めて読む津村記久子作品。
7つの短編が収められています。

「地獄」の面白さにやられました。
地味にストレスがたまりそうなぬるい地獄。
主人公もご友人も、刑罰にやや苦しみつつも、生きてたときとそう変わらずに地獄の生活を送っているのがなんともシュール。
鬼の不倫関係に一枚かんでみたりしているし。

「給水塔と亀」の淡々とした感じ。
「アイトール·ベラスコの新しい妻」に描かれた三者三様の人生に女性の怖さをにじませる感じ。
「運命」の当人の半ば諦めも含んだやるせなさを、他人だからこそ味わえるユーモアにしてしまう感じ。
どの作品もとても好みだったので、ほかの津村作品も読んでみたくなりました。

最初は「何の絵だろう?」と不思議に思いながら眺めていた表紙が、読後にじわじわ効いてくるのも面白かったです。
それぞれの短編のエッセンスが詰めこまれた、遊び心の感じられる絵にふくふくと楽しい気分になりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読みました。
感想投稿日 : 2017年5月30日
読了日 : 2017年5月20日
本棚登録日 : 2017年5月30日

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