ソクラテスの弁明: エウチュプロン,クリトン (角川文庫 白 16-2)

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感想 : 10

無知の知。私は知らないということを知っているだけ、あなたより私は賢い。自分が賢いと思っているけど、実はそうではない人のところへ向かって、あなたは賢くないということを説きに出向く。それが嫌われることであるということも自覚している。けれど、それは神託にもとづいてやっているのだから曲げるつもりはない。哲学しないぐらいなら、死んだほうがマシだ。「諸君に対してにせよ、その他の人民大衆に対してにせよ、律儀に反対して国のうちに多くの不正なことや違法なことが起こらないように妨げる人で、命を全うできる者は世に一人もいないのである。」(p.84)「他の人々を抑えつけることではなくて、自分をできるだけ優れたものになるように、ととのえるというしかたでのがれるのがいちばん立派なことでもあり、いちばん容易なことでもあるからである」(p.101)。自分のまわりにこういう人が四六時中いたら、恐らくうっとうしくてたまらないだろうし、殺すまではいかなくても、遠ざけてしまうのではないか、受け入れ続け、自分を鍛え続けることができるだろうかと思ってしまう。まさに良薬口に苦し。仏教にしろ、ギリシア哲学にしろ、善く生きる、ということは変わらぬ重要なテーマであって、と。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2012年1月3日
読了日 : 2012年1月4日
本棚登録日 : 2012年1月3日

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