10年越しに読了。なぜか中途でやめて放り出してたエッセイ。10年ぶりに詠むの再開。酒からはじまり魚へと、世界をまたにかけてかたり、その国の風土や人も語るといった体で。舞台はだいたい50年ぐらい前で。エスカルゴ食べて、「バターとニンニクとパセリのみじん切りの香りが腸をねじる」(p.41)なんて表現したり、ヴェルレーヌの詩を一節口ずさめば、共産圏の同行者に「頽廃だ」と吐き捨てられたり、開高健と大江健三郎が吐き出したほど不味いと思ったブランデーを、最高級品です!と野間宏に持っていったら、だまってのんで「もう一杯おくれ」と言われたシーンとかは印象に。あとは◆「戦い合う当事者は、人間的にはなれない。真に人間的なのは、第三者の傍観者である」(ゲーテ)p.234◆旅でも同じだ、というのが私の考えだな。何でも記憶にとどめようと気ばって見て歩くと、物ごとの表面ばかり見ることになる。本質が見抜けなくなる(略)自然体に構えて、それ触覚にひびいてきたもの、耳と目と頭に残ったもの、それがきみにっとての物ごとの本質だということになるp.234-235◆「漂えど、沈まず」(略)男の本質、旅の本質は、まさにこれなのだp.240◆といったあたりが良かったかな。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本・雑誌
- 感想投稿日 : 2023年10月26日
- 読了日 : 2023年10月24日
- 本棚登録日 : 2013年1月25日
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