私立の中高一貫の女子中学校・女子高校を舞台に起こる連続自殺。それは自殺だったのか?原因はなんだったのか?よそで起こった自殺とつながりはあるのだろうか。自殺した生徒の後輩たちが、噂された教師が、その教師とかつて仲の良かった教師が、司書教諭が、それぞれ舞台をまわす。ただ、どの登場人物もしょっちゅう、「思いつき」(わたしはこう思う!けど○○について説明できる?それはわからないけど…)、「思い込み」(○○先輩はそんな事する人じゃない!)、「理解の強要」(まずは私の気持ちをわかってほしい)そして噂好き、根拠がうすかろうがなんだろうがぱっと広まっていく噂。それらが高速で順繰りでてきて、ややげんなりしてしまった。それが舞台となる場所の特質なのだとしたらそうなのかもしれないけれど。事件か?自殺か?誰が犯人なのか?原因は?二転三転する見込みに、だんだんと真実があきらかになっていき…と。◆「わたしは正しかったんだ、って」「なにが?」「わかりません」「わかるって言ったじゃないか」「わかったことをすべて言葉にできるわけじゃないでしょう?」(p.192)…このやりとりが一番ひんやりとした。◆活版印刷三日月堂シリーズ、紙屋ふじさきシリーズ、金継ぎの家とほしおさなえ作品を読んできたので、デビュー作も、と思ったけど、風合いがだいぶちがった。
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- 感想投稿日 : 2022年9月28日
- 読了日 : 2022年9月26日
- 本棚登録日 : 2022年9月28日
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