旅路の果て (白水Uブックス 62)

  • 白水社 (1984年1月1日発売)
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感想 : 17

「パイロットフィッシュ」つながりで。結局、「パイロットフィッシュ」で、「旅路の果て」の一節とされた「それは、どんな長い長い旅にも必ず終わるときがくるということに似ている」は探し出せなかったけど。旧版の引用だったのかなあ。/ある時、心身とも麻痺して一定時間動けない症状になっているところを専門医に見つけられ、療養を開始した主人公。社会復帰の第一歩として大学の英文法講師の仕事を得るが...。親友ともいえる深い交わりを持った夫婦の妻を寝取ってしまい、それが露見し、主人公が奔走して中絶を試みるも失敗して死亡、保守的な土地柄ゆえ、友人は職も失ってしまう...原因を作った主人公は罰されもせず、職も失わなかったが、最後は、耐え切れずに、街を飛び出すことに。理屈ばかりこねて冷笑的で、「ライ麦畑でつかまえて」の主人公がもっと年をとったらこうなるのでは、と思ったり。後味の悪さがきわだった。/そういう意味でもバカげているんだ、自分のやってしまったことを弁解して、ほんとはそんなことしたくなかったんです、なんていうのは。やりたいと欲したこと、それが最終的には、やったことなんだ。p.78/もし選択物が左右に並んでいたら左のを取ること。時間的に並んでいたら早いほうを選ぶこと。これがだめなら、アルファベット順で早いほうの文字で始まる名前の選択物を選ぶ。これが<左側原則>、<先行原則>、<アルファベット原則>だp.132/女性に対する礼儀なんてものは女を真剣に考える気のない男が考え出したフィクションだ。p.149/「おのれを偽ること最も少なきものこそ、われわれはすべてたわむれているにすぎないことを認めるのかもしれない」p.235/「歩いて来た道はあまりに遠く、学んだことはあまりに多かったね、ぼくたち」「この時代まで生き残ってきたぼくたちのうち、だれがこのうえ生きていられるだろうか?」p.305

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2015年9月23日
読了日 : 2015年9月23日
本棚登録日 : 2015年9月23日

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