高価な龍野の醤油をめぐる強盗殺人事件と、突如高岡藩に発覚した出入りの商人からの巨額の借財、その二つが結び合わさって進んでいくのが今回のストーリー。堅物で藩財政のことで頭がいっぱいで、時に妻の気持ちに無神経になってしまいむくれられる主人公。しかし、藩への真摯な思いは通じて、すれ違いを見せつつも、最後に今後販路を開こうとする各大名への振る舞いの場でも、妻が大きな役割を果たし。最後の、ふすまを開けるシーンは、もう一幅のドラマにしたい、このあとエンドロールが流れるな、という大団円。直言の臣下に、言外に殿も汗をかいて金策をと迫られたり、奥方に構えるところがあるから味のことしか言えなかったのではとアドバイスされたり。杭のこと、塩のことと前巻までの活躍が買われて、財政手腕を発揮している親族に見込まれて、借財を返すきっかけの大きな仕事を任されたり、と個人的には見所もいろいろだった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本・雑誌
- 感想投稿日 : 2018年5月11日
- 読了日 : 2018年5月13日
- 本棚登録日 : 2018年5月11日
みんなの感想をみる