おれは一万石(14)-商武の絆 (双葉文庫)

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  • 双葉社 (2020年8月6日発売)
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松平定信によって出された棄損令(=徳政令)。札差(金貸し)が旗本に貸していた金の大半が帳消しになり、旗本の暮らしは楽になるかと思われたが、貸した金がかえってこない可能性がある、となれば、札差もおいそれとは金を貸さなくなる。その動きは、他の商人たちへも広がり、経済の流れは一気に悪くなり…と。/「棄損の令によって、お武家様は、貸し金をご返済くださるという信頼をなくしたのです」(桜井屋)/主人公正紀が世子となっている高岡藩も、借りられるあての五十両が入らず、材木代の支払いに困り、国元では高岡藩でも棄損の令を!との声が高まり、利根川増水で藩の納屋にも危機がせまり、家老の弟の冤罪を晴らすための調べもあり…と。/「おれは、高岡藩内に棄損の令を出すのは反対である。貸し渋りをされて銭が回らぬようになるよりも、稼ぐことを考える。承知をいたすがよい」(正紀)/「あのご仁は崇高だが、孤独だ。私はしばらく付き合ってみようと思っている」(松平信明)/「あの人は最後に私を守ろうとしてくれました。稲富家で過ごせというあの言葉が、これからの私の支えになります」(梅)/懸案にも真正面から誠実にぶつかっていき、最後はそれが通じたように道が開けて…と。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年1月28日
読了日 : 2021年1月28日
本棚登録日 : 2021年1月23日

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