エッセイをほとんど読んだことのなかった私に、「好きな作家のエッセイは小説と同じように楽しめるものだ」と気づかせてくれた1冊。この本のおかげで、池波氏の他のエッセイから、幸田文、向田邦子らのお気に入り本とも出会うことができました…
『食卓の情景』には、そのタイトル通り‘食’にまつわる池波氏の体験が詰まっています。個人的な食事から、取材旅行先の食事、幼い頃や戦前・戦後の特殊な事情下の食事…いろいろな時・場面での食事の風景が生き生きと語られていて、本当にその場に立ち会っているように感じられます。
‘情景’とあるように、そこにはいつも深い気遣いや感謝の心が存在する。単に腹を満たすだけでは物足りない、料理といっしょにその場の雰囲気も味わってこその食事でなければならない。池波流・食の哲学が、味わいのある文章で読み解けます。
登場するエピソードを読むにつけ、池波氏の‘食’へのこだわりがよくわかる。小説で描かれる食事の場面が、ああも魅力的な秘密は、ここにある!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
池波正太郎
- 感想投稿日 : 2009年12月4日
- 読了日 : 2009年12月4日
- 本棚登録日 : 2009年12月4日
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