素人がテレビでもてはやされ、素人に毛が生えたくらいの人がタレントと呼ばれ、ニュースには不安を掻き立てるようなBGMが当てられ、ニュースショーの司会者は国民の代弁者のような顔をして語り、殺人や汚職や事故がドラマのように演出され流される……37年前に書かれたこの本はある意味で「予言の書」だ。
この本を読み終えたあと、出先で藤圭子さんの遺体を乗せた霊柩車の助手席に座る宇多田ヒカルさんの映像を観た。必死にカメラを向け表情を捉えようとするマスコミに嫌悪感を覚えながらも、その映像に見入ってしまった自分をそれ以上に嫌悪した。
「48億の妄想」は既に妄想ではなくなってしまっている。妄想が現実となり、妄想力をフル回転させた先に現実がぼんやり見える。そんな世の中に僕らは生きている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2013年8月28日
- 読了日 : 2013年8月27日
- 本棚登録日 : 2013年8月27日
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