しぐさで読む美術史 (ちくま文庫 み 31-3)

著者 :
  • 筑摩書房 (2015年12月9日発売)
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感想 : 10
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美術に登場する代表的な身振り手振りや動作を紹介する一冊。

悲しみや驚きや怒りなどの感情表現。
祝福や腕組みといった儀式的慣習的な身振り。
そして、食べたり踊ったりという具体的で直接的な動作や運動表現の、大きく分けて三つのしぐさに着目した美術本。

美術を、しぐさというテーマで括るのがまず面白い!
このテーマでの美術本は初めて見た。

例えば、ダヴィンチの「最後の晩餐」は、イエス、ユダはもちろん、他の弟子も含め、描かれた人物それぞれの身振りの違いから、さまざまな感情が読み取れる。

時代、国によっての習慣の違いなどからも、その身振りにも違いが出る。中には、その仕草が何かの暗示であることも。古今東西、日本も含め、さまざまな国の美術作品が比較される形で取り上げられており、今まで気づかなかった美術の視点に気付かされる。

走る、踊る、殴る、など分かりやすいものを始め、支払う、嘲笑、正座、居眠り、頬杖など、ややマニアックなものもあり、それぞれ4、5作ほど取り上げられている。

「体育座り」はスーラ。
「寝そべる」はルノワールの「オダリスク」とマネの「草上の昼食」。
「居眠り」はフェルメール、ミレイ。
「頬杖」はゴッホ。
「足を組む」はブーシェの「ディアナの水浴」、ラファエロの「アテネの学堂」が印象に残った

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年1月15日
読了日 : 2022年1月15日
本棚登録日 : 2022年1月15日

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