闇金ウシジマくん (46) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館サービス (2019年5月30日発売)
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感想 : 14
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ウシジマくんはダークヒーローでも何でもない。闇金屋だ。根が真面目なので、取り立てに足を使う事を厭わない。仕事には手を抜かない。生まれた環境が違えば、普通の家庭に生まれていれば、会社員としても優秀だったかも…ではなく、闇金屋と言う天職に就くのに欠かせないスキルを持った天性の闇金屋だ。筋者ではないが、容赦ない取り立てには強面も必要、逃げる債務者を文字通り足で追いかける為の体力も必要、お金と言う「物」を保管する為の工作に必要な頭脳も必要、そして、信用できる仕事仲間も必要。

チーム丑嶋にお涙頂戴的な湿っぽさを、丑嶋自身は持ち合わせていない様に見えるが、彼には「闇金に手を出す時点で終わってると思われる人間」にさえも「生」にしがみつく人間臭さを肌で知っている。人間には感情が有り、欲望があるのを仕事を通して誰よりも観察している。その人間の行動原理を理解している。そこが丑嶋馨と言う人間の最大の魅力になり、滑皮など、支配欲に取りつかれた男たちを刺激し続けたんだろう。

漫画の定説から読み解くと、刺された際、ウシジマくんは読者から見て右向きに描かれている。『あしたのジョー』の最後のコマは左を向いている。右を向いていた場合、漫画本の造りから物語を受け止めてTHE ENDと言うのが定説で、ジョーは本が閉じられる先、左を向いているので「死んでない」とされている。描かれる筈の無い未来、先を見ていると解釈されているからだ。ウシジマくんは死んだのだろうか。作者は意図して物語を受け止める右向きに描き、最後のコマでも「仰向け」を逆さに描く事で紙面を上下逆にすると「左」に向いている様に描いている。私個人的には日々の入ったスマホを描く事で「連絡が取れず来るのが遅いと感じた柄崎がすっ飛んで来て、病院搬送されて生き返ったんじゃないか」と思いたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青年漫画
感想投稿日 : 2019年6月13日
読了日 : 2019年6月13日
本棚登録日 : 2019年6月13日

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