スメルズ・ライク・グリーン・スピリット SIDE A

アーティスト : 松岡禎丞  羽多野渉  吉野裕行  遊佐浩二  永井三郎 
  • CROWN WORKS (2014年3月27日発売)
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感想 : 4
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聴く前はキャスト云々ほとんど考えなかった。原作は好きだが、永井三郎のギャグテイストはビジュアルによる見るインパクトが強いから(顎の梅干しわとか)それを音声で伝えられる訳がないから、物語としてどう聴くか、に掛かってくる作品になるのと、リアル高校生の声など、幾ら声優さんが演じようと正確には声優さんのスキルで記号として「高校生に聞こえる声」でしかないからだ。原作を読んだ時、BLでは無論あるがその中でも「さらば青春の光」を描いた思春期漫画でもあるな、と強く思ったので、読者にとって三島も桐野も夢野も、かつての自分の姿であるからこんなにも切ないのだ、と思った。それを音声化するのに、声優の演技よりも過ぎ去りし日の物語感を出してくれてれば誰でもいいや、くらいな気持ちがあった。三島は声の質として難しいだろうな、と思ったが、松岡くんの三島…違和感まったく無しだ。女装が好きだが女になりたい訳ではないフトシだから、女々しくやられるとキツいぞ、と言う危惧は一蹴されるわー。松岡くんが…とてもいい。しょうがないじゃん!!の泣き叫びが物凄いよかった…。フトシの可愛さが出てる。あざとく可愛い声を出す、と言う感じしないし…私が松岡くんの声をあんまり聴いたことがない、と言うのが功を奏しているのもあるが。わちゃがオネエになる一歩手前のぎりぎりのところで桐野やってるよなぁ…女声を出す、と言うのではなく、桐野のままで「アタシ」って言ってる感じがいいなぁ。わちゃ、何気にすげぇわ。原作読んでるから言えることだが、もう家族の在り様が彼らの未来を暗示しているよね。桐野は本当の自分を捨てて不幸だった母親の為に幸福な家族を自分の身を犠牲にして体現したわけだが、それで後悔はなかったとしても、どこまでも母の息子として生きる事を選んだのが桐野自身とは言え、自分の父や母と自分を切り離して自立すると言うのは大事なことだよ、って今さら私も実感してるよ。家族、つまり父親や母親によってもしかしたら制限されてしまった本当の自分があるんじゃないか、と言うお話でもあると思う、ズメルズ。桐野は自分の母親にしてもらいたかった役目を三島に対してやってるように見えて、物凄く切ないよ…多分、何度も聴くうちに良さが積み重なる、そう言う作品だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドラマCD
感想投稿日 : 2014年4月4日
読了日 : 2014年4月4日
本棚登録日 : 2014年3月14日

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