ユングを本邦に輸入するにあたって、著者はそのオカルティックな側面の扱いに慎重だったとされる。受け止め方の難しい問題で拒絶や曲解を恐れたのだ。
後半生に至っては共時性やコンステレーションに関して積極的に発言するようになりむしろそれが河合ユングの到達点だったが、その過程にあって刺激となったのが80年代のトランスパーソナルだったということがよくわかった。
引用されるのはキュブラー・ロス、井筒俊彦、ケン・ウィルバー、老荘、といかにもと言った面々で、物理学のデビッド・ボームの概念なんかはずいぶん面白い。
科学と宗教両方があり、その接点に居ざるを得ない、というかそうあるべしなのが心理療法というのが一応の結論だが、それからまただいぶ時代下って、科学も宗教もますます不信感でしか見られない現代、いかがなものだろうか?
最近はエビデンスからナラティブへ、なんていうステージがこの問題を継承しているようだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
臨床心理学
- 感想投稿日 : 2014年10月16日
- 読了日 : 2014年10月16日
- 本棚登録日 : 2014年10月16日
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