絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2011年6月26日発売)
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感想 : 153
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日本でも貧困層が増えてきたためか、貧困に関する書籍が目立つようになってきた。しかし、世界基準でみると、日本はかなり恵まれていることがよくわかる。本書の冒頭の統計に一番驚かされた。1日1ドル以下で生活している人は約5人に1人。2ドル以下で生活している人は約2人に1人。飢餓状態にあるか、不安定な食糧供給に依存している人は約8人に1人。1日1ドル以下で生活している人より飢餓状態にある人の方が少ないというのも驚き。
路上生活者たちは初めから貧しく、子育てを子供に託すから出産にためらいがなく、5人も6人も生むからどんどん増えるというのも、日本人の目から見ると悲惨な生活なのに不思議というか、人間って逞しいと感じた。途上国の方が先進国より人口増加率が高いのは知っているが、普通の人がたくさん子供を産むのかと思っていた。
また、日本の人口減に伴って移民を受け入れるべきという意見があるが、本書の描く途上国の現実のとおり何百万人という人々が押し寄せてきてホームレスになって、路上で強姦したり、重婚したりして、10人も15人も子供を産んで、どんどんホームレスが増えていき、やがて日本人より多くなるなんて事態は笑顔で見ていられる訳がない。移民には慎重でないととも思った。
色々と現実を知って考えるきっかけになる本だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2014年12月22日
読了日 : 2014年12月21日
本棚登録日 : 2014年10月9日

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