神の方程式: 「万物の理論」を求めて

  • NHK出版 (2022年4月27日発売)
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ミチオ・カク(加來道雄/1947年~)は、カリフォルニア州生まれの日系3世の理論物理学者。ハーバード大学卒、カリフォルニア大学バークレー校で博士号取得。ニューヨーク市立大学シティカレッジ物理学部教授。専門は素粒子論、特に超弦理論で、弦の場の理論の創始者のひとり。数々のTV科学番組に出演するほか、一般向けの科学書を多数執筆しており、『パラレルワールド』はサミュエル・ジョンソン賞候補、『フューチャー・オブ・マインド』はニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー1位に輝くなど、ベストセラーも多い。
本書は、2021年出版の『THE GOD EQUATION:THE QUEST FOR A THEORY OF EVERYTHING』の全訳。
内容は、アインシュタインが統一場理論と呼び、「神の心を読む」ことができると言った「万物の理論」を求めて、人類が2000年に亘って続けてきた研究の歴史を振り返り、更に、今日、著者を含む多くの物理学者がその究極の理論と考えている「ひも理論」について、批判的な意見も含めて説明したものである。
尚、章立ては以下である。
第1章:統一~いにしえからの夢 第2章:アインシュタインによる統一の追求 第3章:量子論の登場 第4章:ほとんど万物の理論 第5章:ダークな宇宙 第6章:ひも理論の誕生~期待と問題 第7章:宇宙の意味を探す
著者は、この究極の理論が確立すれば、ビッグバンから始まり宇宙の終わりに至るまで、あらゆる事象が説明できるとし、科学の中でもとりわけ深遠な、以下のような疑問にも答えられる(可能性がある)といい、本書の中でもこれらに触れている。
◆ビッグバンの前に何が起きていたのか? そもそもなぜビッグバンが起きたのか?
◆ブラックホールを抜けた向こう側には何があるのか?
◆タイムトラベルは可能なのか?
◆ほかの宇宙へつながるワームホールは存在するのか?
◆高次元は存在するのか?
◆いくつもの並行宇宙からなるマルチバース(多宇宙)は存在するのか?
宇宙には始まりがあったことは、今やほぼ確かなことである。そして、(或る)宇宙には終わりがあるらしいことも分かりつつある。即ち、我々人類の住む宇宙は有限らしいのだ。しかし、或る宇宙から新しい宇宙が生まれるのであれば、宇宙は永遠に続くともいえるのかも知れない。よって、宇宙を説明することを可能にする「万物の理論」は、究極的には、宗教・神の問題、更に、我々の存在する意味を考え直すことにもつながるのである。
これ以上なく壮大で、かつ、世界中の物理学者が取り組んでいる最先端のテーマを、僅か200ページ余りで説明しており、専門知識のない私には、後半に行くほど本質的には理解できないことが増えていったが、サイエンス・ノンフィクション物として読むには十分に面白いものであった。
(2022年4月了)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年4月30日
読了日 : 2022年4月30日
本棚登録日 : 2022年4月30日

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