アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2006年12月21日発売)
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本棚登録 : 48883
感想 : 3827
5

またまた伊坂幸太郎さんの素敵な作品に出会えて嬉しい。
センスあるセリフが盛りだくさんで伊坂節をたっぷり味わえるので、個人的に好きな作品の上位に浮上!

物語は、大学進学で東京から東北にきた主人公:椎名目線の〔現在〕とペットショップで働く:琴美目線の〔2年前〕に分けて描かれている。
〔現在〕では、椎名がアパートの隣人:河崎のペースに乗せられて関わっていく2人のやり取りが面白く、〔2年前〕では琴美がとある事件に巻き込まれてしまい、ヒヤヒヤしながら読み進めた。

素敵な言葉も物語全体も読み進めていくと見事に伏線回収されて出所がわかり、切ないけれどじわじわと心に響く。

〔2年前〕の物語では、主人公:琴美の同居人としてブータン人のドルジが登場する。ブータンといえば「幸福度が高い国」のイメージしか知らなかったけれど、考え方や穏やかさは読んでいてほっこりした。
「すべての生き物は死んだら生まれ変わる」という考え方はステキだけれど、急に親しかった人と会えなくなって1人になったらやっぱり悲しい。

自分の身に起きた経験を通して前向きに変化できる場合もあれば、どうしていいか分からず立ち止まってしまうこともある。過去に耳を傾けて心の中にはいつまでも思い出を残しながらも前に踏み出すきっかけができるのは良いことだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年4月11日
読了日 : 2022年4月8日
本棚登録日 : 2022年4月3日

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