なんて静かで穏やかな世界だろう。
主人公ユキの気持ちの揺らぎが詩のような美しい文章でそっと綴られていき、読み手の想像力が掻き立てられる。
美味しいたいやきを焼く「高嶺の花」のこよみさんと一緒に暮らすことになったユキ。
記憶がするりと消えて、どうしてもあの日に戻って足踏みしてしまう…そんなこよみさんの存在が人生の全てのユキ。
二人は「今」という時間の中で、二つの世界のほんの少しの重なりを頼りに、二人だけの記憶を創っていく。
ユキのささやかな願いがどうか叶いますように。
短い物語なのに余韻がいつまでも続く。
これが宮下さんのデビュー作。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
宮下奈都
- 感想投稿日 : 2017年8月17日
- 読了日 : 2017年7月2日
- 本棚登録日 : 2017年7月2日
みんなの感想をみる