大人の教養とはシェイクスピアを知っていることである、となぜか思い込んでいた10代の頃。シェイクスピアの戯曲集を手に取ったものの台詞だけでは人間関係もあらすじも掴めず、これを理解するには演出家の目が必要だとあきらめ、結局映画を見て知ったつもりになっていました。この本は小説家の視点から見たシェイクスピア作品の解説です。
やっぱり戯曲というのは誰にとっても読みにくいものなんだな、とひと安心。戯曲を頑張って読んでは見たものの展開についていけず、どこか読み飛ばしたかな?と前のページを読み返したこともありましたが、そもそも戯曲に記載がなかった、とわかってもうひと安心。そしてシェイクスピアが書いたままの英語でないと楽しみが半減する、当時のイギリスの状況がわかっていないと腑に落ちない点もある、と聞いていろいろ納得しました。そもそも舞台になって初めて完成するものなのであって、小説のように読んで完結するのではないんですね。そして文学作品ではないから人格や展開の破綻があってもいい。「遊びのある脚本の、遊びの部分を埋めるのが役者」とどなたか言っていた気がしますが、そういうことかと。
今は教養というより人間の機微がわかる大人として、シェイクスピア劇を理解できるようになりたいです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2013年5月10日
- 読了日 : 2013年5月9日
- 本棚登録日 : 2013年5月9日
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