単純な肉体。簡単な体。自分にあきれつつも、それがこんなに嬉しいことだったとは。
噺家さんの小説ということで、リズミカルで威勢のいい作品なのかと思ってましたがどちらかというと女性が書いた応援歌の趣です。ヒロインたちは失礼ながら小説で主人公を張れるほどの人たちではなく。電車のなかで見かけても、まず印象に残らないであろう人々。バイタリティがあるでもなく、目標をもって悩むというより、なんだかなぁって感じで閉じている。実際に身近にいたら、自業自得、甘ったれてるんじゃないわい、と言いたくなると思います。ところが著者はどこまでも優しい。大丈夫、きっとハッピーになれるから、と気軽に言ってくれる。その軽さが、人間を肯定する噺家さんの姿勢に通じるのでしょうか。
最後にはちゃんと繋がるのですが、途中まで繋がってないようで繋がっている感じの人間関係がよいです。巡りめぐって自分もこの作品の流れの中に存在できるんじゃないかな、なんて思いました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国内小説
- 感想投稿日 : 2013年6月5日
- 読了日 : 2013年6月5日
- 本棚登録日 : 2013年6月5日
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